卒業研究の進め方(3, 4年ゼミ)

標準的な進め方と、ゼミ内で取り上げた文献と心構え、WEB上の情報を一元化しました。困ったときは、こちらのページを参照下さい。

このページだけでなく、授業のページ (Teaching) をはじめとする本ホームページ全体が、卒業研究の遂行に必要な情報で構成されています。検索しましょう。

テーマ決め

全ての出発点は、大学における授業です。3年からのゼミ配属に向けて、2年「基礎演習」など、テーマを決めるきっかけとなる授業が準備されています。選択科目や、コース・資格に関わる科目群も、卒業研究の入口です。気になる授業があれば、履修しましょう。そして、各教員が主催する学内講演会、研究会等があれば、ぜひ足を運んでみましょう。

卒業研究のテーマについて、学友や教員と、議論することをお勧めします。内容は何でも構いません(愚痴や「わからない」ことの類が、よい着想につながることも)。アウトプットの過程で、徐々に考えがまとまっていきます。

図書館に住む

名桜大学附属図書館に住みましょう。図書館内を散歩し、気になる本があれば手に取ってみましょう。空き時間は、図書館で暮らすような勢いで。昼寝目的でも構いません。図書館のあちこちにある文献を手に取ってみましょう。本学の関係者をはじめ多くの方々が、これまで図書館に本を蓄積してきました。皆様には、歴史を感じてほしいです。「書は力なり」をはじめとする心構え(?)は、こちらに。

渡部昇一. 1976.『知的生活の方法』東京:講談社.ハイパーリンク先は、書誌情報です

英語研究の基本は、文献学です。 まずは研究のお供となる基本文献が、学内のどこにあるか、つまり、学内で利用できる設備と資料を知ることが第一歩です。図書館を知るイベントも開催されています。言語学・英語学の諸領域の具体的な参考文献については、担当授業 (Teaching) の各ページに記載しています。

また、名桜大生は、図書リクエストを出すことができます(毎年3冊まで)追加してほしい文献があれば、図書館カウンター(受付)で、相談してみましょう。在学生の声が、図書館を創っていきます。

本学図書館の主要文献リスト(英語学)

安藤貞雄. 2005.『現代英文法講義』東京:開拓社.

江川泰一郎. 1991.『英文法解説(改訂3版)』東京:金子書房.

寺沢芳雄(編)1997.『英語語源辞典』東京:研究社.

寺沢芳雄(編)2002.『英語学要語辞典』東京:研究社.

寺沢芳雄・川崎潔(編著)1993.『英語史総合年表:英語史・英語学史・英米文学史・外面史』東京:研究社. 


Huddleston, Rodney and Geoffrey K. Pullum. 2002. The Cambridge Grammar of the English Language. Cambridge: Cambridge University Press. [翻訳]

「英文法大事典」シリーズとして刊行されている。全て畠山雄二編)である。以下、本学図書館の蔵書情報を記す(原著者・監訳者名は省略。論文・レポート等の参考文献として記す場合は、全ての著者情報を書く)。

保坂道雄・吉良文孝・塚本聡・一條祐哉・佐藤健児・小澤賢司(訳)『情報構造と照応表現』東京:開拓社.
今仁生美・伊藤たかね・由本陽子・澤田治・川原功司(訳)2021.『形態論と語形成』東京:開拓社.


Quirk, Randolph, Sydney Greenbaum, Geoffrey Leech and Jan Svartvik. 1985. A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman.

The Oxford English Dictionary (2nd Edition). 1989. Oxford: Oxford University Press.


『英語学大系』シリーズ(全15巻、大修館書店)
『現代の英文法』シリーズ(全11巻、研究社)※第12巻『総索引』は名桜大図書館に蔵書なし



本学図書館の主要文献リスト(言語学)

亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著)1988-2001.『言語学大辞典』東京:三省堂.

中野弘三・服部義弘・小野隆啓・西原哲雄(監修)2015.『最新英語学・言語学用語辞典』東京:開拓社.



(※随時、追加します

辞書類は、言語学習センター (LLC) にも充実しています。こちらの資料は貸出不可ですが、利用時間であれば、いつでも活用できます。語学の学習も、こちらで。


その他、文献を探すには

名桜大学附属図書館で利用できる英語学関係の文献は、限られています(一方、学会誌は充実しています)。必要に応じて、学外の図書館、書店も活用しましょう。

沖縄県大学図書館協議会:機会があれば、沖縄本島の大学図書館にも足を運んでみましょう。琉大図書館の規模が大きいですが、ジャンル・分野によって強い(=蔵書が充実している)大学は異なります。

ジュンク堂書店(那覇店)も、沖縄本島では屈指の蔵書量を誇ります(内地では手に入らない貴重書があったりします)。専門書、英語に関する本、ともに充実しています。

研究者のホームページを読む

主要文献情報や、研究方法、テーマについては、ホームページ (HP) から情報を得ることできます。英語学(特に英語史)分野は、国内研究者のHPが充実しています。言語学・英語学を中心に、卒論執筆に関わる情報が詳しいHPと、各ページで得られる情報を紹介します。こちらからご覧下さい。

ただし、HPの情報だけで研究ができるわけではない。文献を読むだけではわからない背景情報、解説などを手がかりに、読解・分析に活かしましょう。

研究倫理

研究テーマによっては、卒業研究の遂行にあたり、学科の倫理審査で承認を経る必要があります(全ゼミ共通です。詳細は、3, 4年ゼミで説明があります)。本ゼミでは、できれば3年後学期中に、卒業研究の計画書、倫理申請の必要書類を完成させることを目標としましょう。なお、学科の倫理審査に出す書類には、参考文献リストを明示して下さい(通常、研究計画を書くときには、執筆要項に従います)。


また、アンケート調査を希望する場合は、実施方法も含めて要注意。例えば、以下の問題:

SNSで回答を求める卒業論文用アンケート(群馬大学  二宮祐研究室)

指導教員と相談の上、学内外で実施するときは慎重に(SNSで問題となり、大学・社会的に批判を受けた例がある)。


引用については、以下の「先行研究をまとめる」をどうぞ。


研究計画の書き方:ここでアカデミックライティング

研究人生を歩むことになると、特にアカデミアでは定年までついてまわるのが研究計画(例:科研費)。早ければ、院試の願書と一緒に提出することになる。本学では、倫理審査を受ける場合に書く。募集・応募・作成要項をよく読み、言われた通りに書くのが基本。

ここで、アカデミックライティング復習することになる専門性が高い文章を読むことができる人よりも、日本語を読むことができる読者数の方が多い(この話は、卒論執筆の折などに言われるはずだ)。専門外の読者に対しても、理解しやすく読みやすい文章を書くことを心がけよう。名桜大学ライティングセンター(Meio Writing Center; MWC)では、文章へのコメントを受けることができる。2023年11月から、卒論についても助言を受けることができるようになったので、ご活用を。また、作文に関する書籍も充実である(貸出OK)。作文の本は、図書館にもある。


通りやすい申請書に王道はないが、有効と言われるテンプレートが存在するのは確か。
ここでマニュアル本は有効。図書館のウェブサイトで「研究計画」と検索すると何件かヒットする(一例)。

大学のホームページ内に、書き方の指南があったりする。検索すると、出るわ出るわ...(びっくり)。一例を挙げる。

大学院進学に必要な研究計画書に記載すべき項目とポイントを解説(Focus|中央大学大学院による大学院を目指すためのWebメディア)

採択された研究計画を公開している親切な(?)研究者も存在する。プロジェクトの概要を紹介するため、研究費・助成金の出資者(財団、大学等)の方針により、といった理由で公開されていることもある(例:京都大学教育研究振興財団)。もし読む機会があれば(特に前者の場合は)感謝して、勉強させて頂くのがよい。分野が異なると、前提知識、慣習的な書き方異なる。知見を広げる意味でも、諸分野の計画書を読むことは有効。徐々に「良い申請書」の書き方が理解できる。もっと詳しく学びたくなったら学振のページを参照。

卒業論文の執筆

4年次からは、できるところから順番に、執筆に着手します。データ、目次(論文の構成)を検討し続けていく必要もあります。並行して、卒論執筆についての勉強(卒論とは、どのようなものか。ゴールは何か)についても、熟知しておくとよいでしょう。

・松本曜先生(国立国語研究所)による「言語学における卒業論文執筆の手引き ver 6」は必読。

長屋尚典先生(東京大学)による「((記述) 言語学の) 卒業論文の書き方」 記事@noteも。リンク先は「おすすめの本編」で、各記事へのリンクがあります。

・名桜大学国際学群(国際学部)で過去に提出された卒業論文集のバックナンバーは、図書館のこちらのコーナーで読むことができます。


卒業論文全般に関する記事

卒業論文や修士論文を書く学生へ(京都大学・加納学先生による記事。2021年12月29日付)


先行研究をまとめる

文献の探し方については、上記「図書館に住む」を参考に。執筆に着手した場合は、論旨を伝える上で、最も適切な構成を考えましょう(ケースバイケースです)。ここで、まとめ方の「型」を知っておくことは有効です。構成が見事な論文は、ヒントになります。

先行研究レビューについて(九州大学言語学講座 下地理則)


先行研究をまとめるとき、ウェブサイトを参照する場合には注意して下さい。一例としては、Wikipediaの安易な利用です。情報収集の第一段階としての有用性は認められますが、レポート、論文の執筆にあたっては「必ず」信頼の置ける一次資料にあたりましょう。
関連記事として、東京経済大学におけるシンポジウム「大学におけるウィキペディアの利活用と課題」(2019年9月)の報告があります。記事最後で紹介されている山田晴通先生(東京経済大学)による「レポートにおける Wikipedia の利用について」もご覧下さい。ここに書いてあることは、大学における学業上の一般論で、当然守るべきマナーとされます。徐々に慣れていきましょう。

Wikipediaだけでなく、ウェブサイトから引用するのは、引用の必然性があるときのみに限るのが無難です。文献の探し方については、以下の記事も参照下さい。

地雷本を回避するには?(文献の探し方 Tips)(Yahoo!ニュース個人:言語と社会を考える  寺沢拓敬


引用、パンクチュエーション等については「言語学概論Ⅰ,Ⅱ」の期末レポートのページも参照下さい。

大学院進学に興味を抱いたら

こちらをどうぞ。

言語系の大学院を志望する場合は、術語についても整理しておくことが望ましいです。月刊『言語』第26巻第8号(創刊25周年記念別冊'97・7「言語学大問題集163」)などを参照し、諸分野の基本用語について理解を深めておきましょう。この学習は、卒業研究においても有効です。